摘要: プロスタグランジンE1(PGE1)は,強力な血小板凝集抑制能,血管拡張能を持つ局所ホルモンである.平均粒径200~300 nm(ナノメートル)のo/wエマルションであるリピッドマイクロスフェアに封入した“リポPGE1”は,障害血管部位,炎症部位などの病変部位へ薬剤を効率よく送り込む“ターゲティング”効果のために,少量で効果を発揮し,副作用の低減を可能とする画期的なDDS製剤となった.リポPGE1は1988年の臨床適用以来,日本だけでなく中国・韓国を含めて,末梢動脈閉塞症をはじめ,循環障害に起因する種々症状の改善・治癒に多大な貢献をしている.