摘要: 富栄養化の進む手賀沼で越冬するハシビロガモの食性を明らかにするために,1990年3月に採餌中のハシビロガモ7羽を捕獲し消化管内容物の分析を行った。胃内容からは主に橈脚類(Cyclpos spp.)および付着性の緑藻の一種Cladophora glanurataが検出された。このほか輪虫類のBrachionus calyciflorus, B.leydigii,B.angulayis,Trichocerca birostris, Polyarthra spp.とNemutodaに属すると思われるもの,Navicula属,Synedra属の付着性の珪藻も若干含まれていた。この結果から,本種は表層水中の動物プランクトン及び魚網などに付着する藻類を主な餌としていることが考えられ,こうした餌となる水生生物群集と本種の摂食生態との関係に関する研究の必要性が示唆された。