作者: Yuji Sugawara , Taijiro Sueda , Kazumasa Orihashi , Masanobu Watari , Kenji Okada
DOI: 10.4326/JJCVS.29.407
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摘要: 症例は53歳, 女性. 29年前に大動脈弁閉鎖不全症および僧帽弁狭窄症に対して大動脈弁置換術と僧帽弁交連切開術を当科で施行した. 弁置換術には Starr-Edwards ボール弁 (SE弁) (Model 2320) を使用した. 当科外来で経過観察中, 3年前より慢性心房細動になり, 6カ月前より労作時息切れが出現しNYHA II度となった. 心エコー検査で, 僧帽弁弁口面積は0.9cm2であり, SE弁の機能障害はなかった. 僧帽弁置換術, および左房のみのメイズ手術の予定で手術を開始したが, SE弁のケージ部の被覆布の広範な破損を伴っていたので, これらに加え大動脈弁位再弁置換術を行った. 術後経過は良好で, 洞調律に復した. 本症例は文献上本邦におけるSE弁置換後最長経過例であったが, この経験より, SE弁置換術後長期経過例では, 塞栓症の既往がなくとも被覆布破損の可能性を念頭に置く必要があると再認識した.